"コンゴ民主共和国産Prosopocoilus属不明種"がebayにて出品されたのを取り寄せた。お世話になったのは何度か取引した事のあるベルギーの出品者。
(コンゴ民主共和国クヴィウ産。大柄な割に中歯型)
データはコンゴ民主共和国南西部産だった。コンゴ共和国にも結構近い。
さて、今回の♂について交尾器等を調べてみるとやはりアンティロプスノコギリクワガタだった。R. D. Congoでも南西部だから。今まで同地域のアンティロプスについては"確実なデータで新しい実物個体"を観察出来ていなかったから、"別の種でない事"を確認出来た事は大きな収穫と考える。
同種の地域差について、西アフリカでは全体的に小柄だが、分布域東部側だと時折大柄な個体が混じって見られる。また長歯型の出現率も東部側で高くなる。
地域により色合いが変わるのは幼虫時代の食べ物が起因と予想する。インド北東部の近似種ブルボススノコギリクワガタはメガラヤの野生下では赤味があるが、黒色微粒子のマットで数世代飼育されると漆黒になる例があった。
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此の辺り一帯の産地をやっていた邦人は少ない。"奥中昌一郎氏"もカメルーンの方やコンゴ共和国、またコンゴ民主共和国北東部は少しだけやったが継続はしなかった。
邦人学生が一人でカメルーンから中央アフリカを遠征した話もあり、成果物の一部を買い取った事も思い出す。
関西の業者がカメルーンからアンティロプスらしき個体を見つけたが分からないと嘆いていた事もあった。
当時の私にも多分程度で分からなかった。昔は比較用の"資料と言えるもの"がほんの僅かしか無く、データの不確かな個体群か同定困難な不明種しかなかったから形質比較出来なかった。しんどい時代だった。
【追記】
論理展開に矛盾があっては科学にならない。或る科学者の方によれば"論理展開だけでも話者の嘘が解る場合あり"と。
https://x.com/himasoraakane/status/1853563441891676341?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw
https://x.com/himasoraakane/status/1853679808640876816?s=46&t=6MVYq5Ovmu_MXJ16l5mXpw
例えばルイセンコ学説は"言った者勝ち"で大量の犠牲者を出した訳だが、其の結末は歴史に深く刻まれ知られた通り。ルイセンコ学説が許されるのは"創作作品の中で"だけ。
遺伝する形態というのは、進化の途上で種の存続の邪魔にならない機能が優先して受け継がれる。逆に邪魔になる機能は死亡率を上げ淘汰される原因になりやすい。 エピジェネティクスでの現象も然り。
例えばちょっとしたトラウマを獲得形質として子々孫々まで受け継ぐような遺伝型系統があったとして其の生物系統は自然環境の圧に負けやすくなり、そうでない生物系統との競合で負けて淘汰される。そういう生態の生物種が自然界の過酷な生存競争を生き抜いてきたとは考えにくい。野生型では先ず有り得ない。
過保護な環境を作った試験管内では野生型より活発な人工の表現型系統も、自然界に近い環境下では生存出来ない事が多い。自然界では"蛇足"の無い方が有利であるため、"其れ"は受け継がれにくい。